ロジスティクスの進化で創り出す未来:配送サービス(2)
第2回目テーマ:「メーカーを中心としたB2B輸送の取り組み」
9/20付の日経本誌で、日本政府はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の21力国・地域内で輸
出入される貨物について、荷主が物流網のどの段階にあるのか常に把握できる共通システムの構
築を提案するという記事が載りました。10月から日中間でテストを開始し、在庫削減やリードタイム
短縮、災害時の対応力強化などを目指すとのこと。
日本がロジスティクスで主体的に外国に提案を発信するということは久しく目立ちませんでした。
ここで使われる技術はICT(情報通信技術)であり、日本の電機業界の試算では590億円の在庫を
減らせる、といったシミュレーション結果があるとことで、成果が期待されます。
見える化が世界レベルで行われる今、国内においても現場情報の見える化は喫緊の課題。今回紹
介するメーカー物流の新潮流でも重要な役割を担います。
前回は主に小売店と消費者を中心としたB2C輸送の変化を紹介したが、今回はメーカーを中心とした
B2B輸送の取り組みを紹介したい。
メーカーの着目点は「コスト削減」と「サプライチェーン全体の効率化」である。現在、ものづくりの拠点と
しての日本は
(1)円高(2)高い法人税(3)自由貿易協定の存在(4)製造業への派遣禁止
(5)二酸化炭素を2020年までに25%削減する宣言(6)震災とそれに伴う電力不足の問題
の「六重苦」と言われるほど劣悪な環境になってしまっている。
メーカーの目線は必然的にコスト削減へと向くが、この流れでも利益を堅守する物流事業者も多数存在
する。これらの企業に共通する特長は「プラットフォーム」だ。
従来、メーカーは物流を “半身内”である子会社が管理するケースが多々あったが、震災後、物流子会
社を物流専業者へ売却し、その運営を移管する話が目に付く。
理由として、少量多品種生産対応の割合が多くなり、専業者にコスト競争力で劣る場面が増えてきたこ
とが大きいだろう。
また、部品メーカー立地が全国、あるいは世界各国に散らばったことも大きい。広域から製品が調達され
るようになると、供給をコントロールする役目が必要となり、ミルクランの元請け企業が門前に巨大な倉庫
を建てて、その拠点をハブに供給コントロールをするようになっているという。
この門前倉庫に一時備蓄してJIT納品をかける仕組みを「プログレスレーン」と呼ぶ。
このノウハウは震災前より存在した。従来と違うのは、その倉庫の規模である。大型化が加速し、かつ高
機能化しており、生産ラインの延長として供給に最適なロケーション、ハンドリングを要求されている。
同様に電気部品や住宅建築資材なども、納品先ルールを熟知した運送事業者を中心に、物流企業側が
設計したサービスによる「プラットフォーム」を構築していることが多い。
収益モデルは積載率、稼働率重視という定番のものであるが、優れているのは「特定業界の荷物に特化
することによる品質の維持と向上」「納品先ニーズを重視した配送ルールの吟味と設定」であり、コスト・
オペレーション品質・供給安定性に優れたモデルである。
このように説明すると、「もともと大荷主との契約がある、限られた企業しか実現できないモデルではない
か?」と思われる方も多いが、実は最も中小の運送会社が口座を奪取しやすいモデルである。
理由は、要求品質を的確に把握して、ローコストと両立させるには、自社のアセットを持ち、傭車先の管理
がしっかりできている必要があるからである。
大手であっても自社の運営ノウハウを持たない企業は、メーカーの厳しい要求に対応できない。アセットを
持つメーカーは、今こそ現場の熟知を基盤に攻略を進める、あるいはオペレ-ション品質での競争に狙い
を定める好機が到来したと言えるだろう。
注意すべき点は、(1)特定の会社への経営依存度が高まるリスクと、(2)活動範囲が世界に広がること
による兵站の伸びへの対応、そして(3)協力会社の品質管理である。
いずれも重要な課題であるが、(2)と(3)については、現在のICT(情報通信技術)の有効活用により、
かなり詳細に「見える化」が可能になり、リスクの発見も正確で容易になることが期待されている。
また、プラットフォームの中には、従来型の配送と比較したCO2削減効果を荷物別に情報提供するサービス
を付加することで、「環境性能」をアピールできるようにしている物流事業者も出現している。
メーカー物流も貪欲に顧客との接点を増やしながら、プロとしての役割に特化することで
活路を見出す事例が増えてきている。
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