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物流360° 「物流現場の5S(2)」

カテゴリ: on-SITE
2006年 1月 29日(日曜日) 07:41 作者: 黒澤 明

よい現場は5Sが行き届いている、と言われます。

では良い現場を作るためにはどのように導入し進めていくのが効果的なのかについて、

ある現場の事例を通じてお伝えしたいと思います。

 

5S導入時にまずすべきこととは

  「5S」とは、信頼関係の構築と維持、そして働く人たちの気づきや問題意識を吸い上げる

仕組みである、とお伝えしました。では、どのように5Sを実施すればこのような仕組みを

作り上げることができるのでしょうか。ここでは前回ご紹介した青年が行った取り組みを紹介します。

  彼は5Sの実施に当たり、「現状の正しい把握」と、情報と環境の「整理」を行いました。

まずスタッフ全員の履歴書を熟読の上、全員とヒアリングを行った上で、不要な管理を廃止

しました。そして、本来の仕事の流れと、それらを円滑に進めるために必要な5つの管理項目

(出欠、進捗状況、作業予定、仕掛り業務、本社指示・連絡)を改めて定め、ルーズだった

時間管理の徹底をはかりました。

このように、5Sの実施にはまず「整理」が必要になります。「整理」とは、不要なものを捨てる

ということであり、要・不要を判断でき、捨てる権限がある人間=リーダーしかできません。

リーダーの率先垂範がまずあって、初めて5Sが動き始めるのです。

 

リーダーは「まず一人立つ」意識をもて

  彼はその後、現場に一番早く出向き、整理、整頓、清潔を徹底して行います。現場に居て

行動しているという事実は皆の信頼を高めることに繋がりました。 整理を徹底することで

不要なものに埋もれていた必要なものが目に入るようになり、整頓をすることで、業務上の

ムリ・ムダ・ムラもはっきりとわかるようになっていきました。 そして、清掃が行き届いたころ

にA君は多数のお客様をセンターに連れて来るようになります。お客様は現場で働くスタッフ

の挨拶と、清潔な現場を見て感激していきます。この評価が、現場で働く人たちを奮起

させました。自分たちでこの現場を支えていかなくてはという意識が徐々にスタッフに生まれ、

掃除を自発的に分担して行うようになったのです。

この半年間A君が心がけたことは、「一人ででも続ける」という5S実行への強い意志と、

積極的な現場スタッフへの働きかけだったそうです。

 

どうすれば5Sは失敗するか

  逆説的ですが、どうすれば5Sが失敗するのかということもお伝えしておきたいと思います。

それは実施する順番を「整理→整頓→清潔→清掃→しつけ」から「しつけ→清掃→清潔→整頓

→整理」へと逆にするだけです。  なぜ逆にするだけで失敗するのでしょう。5Sの取り組みの

本質は「率先垂範・習慣継続」です。まずは自らが行動し、やり方を示す。その取り組みを愚直に、

習慣化するまで続けるということが大事になります。しつけを一番に行なおうとしても、何もして

いない、現場もわからない人間から「きちんとしろ」としつけられたところで、心の底から納得する

ことはできません。

また、無駄なものに溢れた現場をいくら掃除したとしても、真に綺麗になるわけもなく、達成感も

満足もありません。また、見た目も変わりませんから驚きもなく、やる気も盛りあがらないのです。

このように、5Sとはその順番にも深い意味があるのです。

 

現場の変化に応じた対処「赤い炎と青い炎」

  おわりに、成功した5S導入を維持・発展させていくにはどうすればいいのかについて触れて

おきたいと思います。働きやすい現場作りのために、現場の雰囲気に気を配り、対処してあげる

ことで、より良い関係作りに励んでください。

 

(1)「喜」(赤い炎):仕事を喜んでしている状態。ミスも少なく、最も効率が良いオペレーションが

出来ています。私は「赤い炎」と呼んでいました。人が集まってくるような、心地よい暖かさです。

自分の仕事が認められた、役に立っていると実感できた時にこんな状態になります。

 

(2)「怒」(青い炎):仕事を怒ってしている状態。雰囲気は悪いですが、結果として効率がよい

状態です。この状況はパニックの時など「火事場の馬鹿力」が働いている時に発生します。

長く続けると燃え尽きてしまうので、その場で一所懸命汗を流して怒りを発散できるよう、

段取りにメリハリをつけ、リーダーも率先して現場に入ることで、怒りも収まります。

 

(3)「哀」(とろ火):かなり無力感が出ていて仕事をする気持ちにならない「報われていないなあ」と

みんなが思っている状態です。こんなときは研修や教育を実施したり、納品先周りをさせて

「御用聞き」をさせていました。 煮詰まったときは外の空気に積極的に触れさせることがポイントです。

 

(4)「楽」(火が消えていたり、関係ないところで燃えている) 「ラクしている」と「楽しい」状態の

2つの意味があります。「ラクしている」場合は評価されないあきらめ感のあまり、やる気が

そっぽを向いている状態だったり、現場がたるんでいる状態ですので、これは厳しく接します。

「楽しい」状態の時は新しい仕事にチャレンジさせて、早めに「喜」の状態にします。

 

  ちなみに「喜怒哀楽」はサイクルで回っていますので、「喜」だけをずっと続ける事は不可能です。

それぞれの場面が、現場の忙しさとうまくリンクしてくると効率があがります。一度お試し下さい。

 

  

黒澤 明

黒澤 明

1964年10月生まれ。大阪電気通信大学中退。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、1986年 ICSサプライ株式会社入社。
法律事務所、会計事務所向けOA機器・サプライ用品等の営業活動に携わる。
1989年 関西定温運輸有限会社(福岡運輸グループ)に入社、1994年 日本フード物流株式会社(日本ハム株式会社物流子会社)設立参画を経て、1997年、物流コンサルティング会社へ入社。物流会社での実務経験を強力な武器とし、業界初の人材紹介サービスを開発するなど、"現場" からの実践的な改善手法提供、提案営業サポートで多くの実績をあげる。
その後、同社取締役を経て、2005年1月、ロジスティクス・サポート&パートナーズを創業、代表取締役に就任。精力的な活動を展開している。

<講師・講演等>

  1. 日本ロジスティクスシステム協会 セミナー講師
  2. 兵庫県トラック協会 セミナー講師
  3. 社団法人中部産業連盟 セミナー講師

<主な取り組みと改善実績>
  1. 医療機器メーカー : 物流現場改善および物流新サービス開発
  2. 建築資材メーカー : 物流現場改善および物流新サービス開発
  3. 広域地場物流企業 : 従業員生産性向上のための管理者教育
  4. 物流子会社 : 実務効率化および改善指導
  5. 物流企業 : ジョイントによる営業~受注、 現場立ち上げサポート
  6. 物流企業 : 人事評価・考課制度の構築と導入サポート
他多数