最近、縁あって配送料、保管料の再勉強をしている。私たちコンサルタントが価格の勉強をする、というと「すわ、値下げ交渉か?」と思われる方も多いと思うが、実際に
は荷主、物流企業双方が儲けるにはどのような可能性が考えられるか、ということを結構真面目に調べている。そして、時代が変わっても今なお、20年前に作られたタリ
フが使い続けられる訳も知りたくなり、今分厚い専門書を見て研究している次第である。
まだ研究途中であるが、現時点でこうではないか、と思われる仮説は次の通りである。1.荷主は物流コストを「売上高対比%」で見ていることが多いため、物流コストはその時代の消費者物価指数に呼応している。実は消費者物価指数は1992年
(平成4年)から上昇しておらず、現在運送業界で最も使われているタリフは平成2年であり、消費者物価指数に呼応していた。この理屈でいくと、運賃や賃料が上がるに
は、最低限物価の上昇がないと難しい、ということになる。
2.タリフには割増要因と割引要因、と呼ばれる項がある。現在の状況を見ると、インフラ整備や運送技術の進化は、ほとんどの割増要因をなくしている。(例えば易損物
は2割増、という項目があるが、現在易損品はエアサス仕様車をもつ企業が専属的に受け持つケースが多く、専用車両を持つことで、荷主は破損リスクの軽減を、事業
者は安定取引というメリットを得ている。)
逆に割引要因はかなり拡大解釈して適用されており、物流事業者側の理解が十分でなく、不採算事業の大半は条件の拡大解釈で起こっている可能性がある。(例えば
長期割引の適用条件は「3ヶ月以上にわたる、明文化された契約により、継続かつ反復して運送される貨物(1回の運送距離が200kmを超えるものに限る)に対して、基
準運賃に対して15%の割引率を適用することができる。」とある。計算上、15%の割引率も根拠があり、これ以上の値引きの場合は、さらに条件を縛る必要があると思
われる。)
3.倉庫にもタリフがあり、倉庫業法とタリフを見ると、それぞれに対してそれぞれ背景と設定根拠があるが、現在は貨物が倉庫に滞留する期間と稼働時間が設定当時
より大幅に変化したため、運送よりもさらにタリフが形骸化したようである(おそらく労働時間は9時17時、土日祝休の時代で原価設定している)。そして運送と同様に、
割増要因のほとんどは設備の進化でほぼなくなっているようである。倉庫の割引要件は非常にハードルが高く(船一杯といったレベルのボリュームディスカウントが主流)、多くの荷主には関係ない要件である。
総じて見ると、タリフは現場の作業実態に基づいて積み上げで決められたものであり、それぞれがきちんと請求根拠もあり、原価構造から見て納得感が高かった。むし
ろ割引要件の拡大解釈や、過当競争で原価から乖離した状態で運用がなされたことが、運賃の低迷の原因と思われた。倉庫はタリフ設定自体が、現在流通の主流を占
める貨物の形態にマッチしていないため、運送より早く形骸化したようである。
結論としては、運送事業者、倉庫事業者は今一度タリフの研究をすることは大変有意義であると思う。もう一つわかったことは、これらの設定根拠自体が、人手での作
業を前提としているため、運送にせよ倉庫にせよ、人手中心の現場作業を変革していくことで、より利益を増やせる可能性は高いと感じたことである。
物流機器や管理技術の進化は確実に料金を安くしている。技術の進化を捉えるアンテナは常時高くしておこうと感じた次第である。


















